〜ある日の診療室での会話〜
癒合歯とは?
癒合歯とは簡単にいうと、隣の歯と歯がくっついてしまっている歯のことをいいます。
発現頻度としては、乳歯で1〜5%程度です。永久歯では更に低く0.2〜0.3%と言われています。何故か西洋諸国と比較して日本が多く、何か最近、前より増えてきたような気がします…
上の写真をみていただくと、実際は乳犬歯Cと乳側切歯Bが1つの歯のようにくっついています。このような状態を「癒合歯」といいます。
癒合歯の出やすい部位
癒合歯が出やすい部位としては次の3つの部位となります。
・上の歯の乳中切歯Aと乳側切歯B
・下の歯の乳中切歯Aと乳側切歯B
・下に歯の乳側切歯Bと乳犬歯C
これ以外の歯が癒合することもありますが、ほとんどが上の3つのどれかが多いとされます。
癒合歯があるとどんな問題があるの?
癒合歯があると、下の永久歯がないかもと言われました
癒合歯があると下記ような問題があります。
・むし歯になりやすい
・歯肉炎になりやすい
・見た目が悪い
・歯が永久歯とうまく交換しない
・交換するはずの永久歯が無い可能性がある
・歯並びが悪くなる
・大人の歯の作りが遅くなる
・全身疾患がある
むし歯になりやすい
癒合歯の凹んでいる部分が、歯ブラシでは汚れがとれず、ゴミがたまり、むし歯になりやすいです!
また、万が一、神経までむし歯が到達すると神経の治療が通常の歯より複雑になるため、処置が困難です…対応としては、凹んでいる部分にシーラントというプラスチックを流し込み、1本の歯にしてしまうと掃除がしやすくなります。
歯肉炎になりやすい
凹んでいる部分が、歯茎の下まで及んでいる場合、歯磨きでは掃除がしづらく、汚れが沈着し、歯肉炎になりやすくなります。
見た目が悪い
歯がくっついてしまい、左右対称ではなくなってしまうので、見た目がわるいことがあります。特に上の前歯では目立つ事が多いです。
歯が永久歯とうまく交換しない
歯が2本くっついてしまっているので、歯の根っこが太すぎて、うまく永久歯と交換できないことがあります。歯の交換期が近づいた時に歯医者さんで抜歯が必要になることが多いです。
交換するはずの永久歯が無い可能性がある
・下の歯の乳側切歯Bと乳犬歯Cが癒合歯の場合
・下の歯の乳中切歯Aと乳側切歯Bが癒合歯の場合
・上の乳中切歯Aと乳側切歯が癒合歯の場合
※上の歯が癒合歯のケースでは大人の歯が無いことや、あっても矮小歯(通常より小さい歯)、萌出異常がおこりやすいとされます。
実は癒合歯の部分によって、永久歯が欠損する%が変わることがわかっています。、また、永久歯の欠損についてはレントゲンで確認するしかないので時期をみて確認してもらってください。
万が一、歯がなかったケースではその部位と歯並びによって対応が異なりますので、かかりつけ医にて長期的な経過観察が必要となります。
大人の歯の作りが遅くなる
癒合歯の場合、その後に萌出してくる大人の歯がゆっくりと出来上がってくる事があります。
レントゲンで癒合歯の下の永久歯がないですよ…と言われても、諦めていたら、後から永久歯の卵が出来てきた!なんてこともあるので、レントゲンは定期的に長期に撮影する必要があります。
全身疾患がある
次のような疾患があるかたは癒合歯が多いとされます
・口唇口蓋裂※癒合歯があるからといって上記の疾患があるわけではないです。
歯並びが悪くなる
将来的に歯が欠損する確率が40〜50%と報告されており、特に下の歯の癒合歯の場合では60〜70%とされます。
大人の歯が無いことで歯並びに異常をきたす事が多いです。矯正治療の必要性、タイミングについてかかりつけ医とよく話し合っておくことが大切となります。
まとめ
癒合歯が出てきた場合、今後、様々な影響が考えられます。
特にむし歯・歯並びについては問題が出やすく歯科医院での長期的な管理が必要となります。良いかかりつけ医を見つけて対応してくださいね。
1歳6か月検診で隣の歯と歯がくっついているかも、「癒合歯」だねーと言われました。癒合歯って何ですか?