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歯の質が弱い(エナメル質形成不全とは?)〜永久歯 MIH編〜

〜ある日の診療室の会話〜

お母さん

出てきたばかりの奥歯の永久歯が黄色くて、既ににむし歯みたいです…こんなに早くむし歯になることなんてあるんですか??

パパ先生

お母さん、これは、エナメル質形成不全ですね…
びっくりしましたよね、今回はエナメル質形成不全について説明します。

エナメル質形成不全とは?

前歯が黄色く変色している

エナメル質形成不全とは、何らかの原因でエナメル質がうまく作られていない状態の歯のことをいます。

エナメル質形成不全は見た目が様々で、白く白濁していたり、黄色かったり、見た目がむし歯みたいに見えるので検診などでむし歯と診断されてしまうことがあります…

特に、今回の相談のように第一大臼歯(最初に出てくる奥歯の永久歯)と切歯(前歯の永久歯)に限局したエナメル質形成不全の歯をMIHという呼び方をします。

MIH(Molar-Incisor Hypomineralization)とは,第一大臼歯と切歯に限局して発症するエナメル質形成不全のことを指します。このMIHは2000年になってから用語が制定され、最近歯科医師の間でも少しずつ認知されてきましたが、まだまだ一般の歯医者さんでは「診断の仕方、治療方針」などがわかっていないのが実情です。

よって、MIH自体を診断することは難しく、毎回、学校の検診などで「むし歯です」という結果の紙をもらってくることが多いです。6年間連続なんてことも珍しくないですよ…

日本の歯医者さんは小児歯科をあまり勉強されていない…というのが悲しいですが現実です(泣)

原因は?

エナメル質形成不全の原因としては遺伝的要因と遺伝的要因以外(全身的原因,局所的原因、原因不明)のものとに区分されます。

MIHは遺伝的要因以外の原因が不明なものとしてカテゴリーされるエナメル質形成不全となります。

そうなんです、MIHは原因がまったくわかっていません…

原因不明と説明すると、保護者から「何か変な病気ですか??」と心配されますが、MIHは「9人に1人」に割合で発現していることがわかっており、決して珍しいことではありません。

なので保護者の方には「神様のイタズラかな??」なんて説明をしてます。

治療方法は?

MIHの治療方針で重要なことは

「永久歯が全部萌出して、噛み合わせが安定してから最後の処置をする!」

ということになります。エナメル質形成不全はむし歯ではありません!!ただ作りが弱い歯です。
よって、なにも自覚症状がないのに、色が黄色いだけの理由で永久歯を削って銀歯を詰めたりするのは治療ではなく破壊です…

なので、噛み合わせが安定するまで最小限の治療にとどめ、噛み合わせが安定した時期に最終的な治療をしてあげることが大事です。

保護者から、「歯が黄色い部分だけ削ってプラスチックを詰めてください」とお願いされますが、できればやはり噛み合わせが安定してから治療をしてあげたほうが、子供にとっては歯を守る行為に繋がります。

ただ、とてもしみて食事がとれない、見た目が気になって笑わなくなって…なんてことがあるときはかかりつけ医に相談して対応してもらってください。

しかし、原則としては積極的に歯を削って治療することはせず、最小限の治療をおこなうことがMIHでは大事となります。

まとめ

MIHは「診断、治療方針」がとても難しいです…
是非、奥歯の永久歯が出てきたときはよく奥歯をみてください。出てきた直後に歯が黄色かったりした場合にはMIHの可能性が高いです。

かかりつけ医の先生に「出てきたときからこのようは歯でした」と伝えていただければ、エナメル質形成不全orMIHが頭によぎるはずです。それでもかかりつけ医の診断が不安に覚えるようなら小児歯科専門医にご相談ください。

MIHは噛み合わせが安定するまで長期的な管理がとても大事になります。
勿論、削って詰めてしまえば終わる話ですが、それでは長期的な予後としては悪くなってしまいます。

よく、かかりつけ医と相談してくださいね。

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