〜ある日の診療室での会話〜
麻酔と事故
2017年7月1日、2歳の子供が麻酔が原因と思わる事故でなくなりました。
実は過去にも埼玉県で麻酔が原因と思われる事故で子供が亡くなっています。
小児歯科専門医の僕らも本当に考えさせられる事件となりました。
子供の場合、麻酔の経験がない事が多く、麻酔をするのが歯医者さんが初めてです!なんてケースが多く、僕も問診をしっかり行ってから治療をしています。
子供に麻酔が必要か?
「麻酔をしないで治療をしてください」
時々、保護者から言われる事があります。気持ちは凄わかります。アレルギーは怖いし、なるべくやりたくないですよね…
でも僕はいつもお母さんに次のような質問をしています。
「逆にお母さん…麻酔しないでお母さんの深いむし歯を削って、神経とっていいですか?多分、激怒して絶対に二度と当院に来なくなりますよね??」
ほとんどのお母さんが「そうでよね…」と納得されます。
お子さんは素直です。
「歯医者=痛い」を植えつけてしまうと大人になってもずっと歯科恐怖症を引きずる可能性があります。
麻酔を何故するのか?痛みを取るためです!
大人の方で歯医者さんはちょっと…て方はやはり子供の時の痛い記憶から自然と歯医者から遠ざかる人もいると思います。
小児だからこそ。無痛治療を心がける必要があります。
麻酔でアレルギーがおきる可能性は?
局所麻酔薬の副作用中の約 1%でアレルギーがおこり、重篤の症状となる歯科麻酔の薬剤(キシロカイン)によるアナフィラキシーショックの発生頻度は0.00007%と極めて低く、飛行機に乗った時に墜落する確率は0.0009%よりも更に低い確率です。
よく、麻酔をしたら気分がわるくなった…フラフラしたというのは歯科麻酔の薬剤(キシロカイン)によるアナフィラキシーショックではなく、迷走神経反射や脳貧血などの緊張しすぎて具合が悪くなった…のケースが多いとされます。
ただ、低いとはいえおきる可能性があるので常に注意して診療する必要があります。
歯科医院でアナフィラキシーショックが起きたときの対応は?
実際、歯科医院で聞いてみてください。
「うちはこのような救急体制があります」
としっかりと説明できる歯医者さんは安心できる歯科医院ですよね!
「アレルギーなんてそんな簡単に起きないよ…」
「心配症だねー」
で片付けるような歯科医院は危険かもしれませんね…
アレルギー以外も様々な病気がある患者さんが歯科医院に来院されます。
よって、最低限の医療体制は必要だと思います。
CT・歯科顕微鏡など最新の医療設備も必要ですが、やはり救急体制を整えるのも大事ですよね。
どうしてもアレルギーが心配な時はどうすればいいの?
大学病院での処置をオススメします。
お近くの歯科大学病院などでは、しっかりとした設備・緊急体制が取られているので、アレルギーが多く、麻酔が心配なお母さんも安心して歯科治療が受ける事ができます。
どうしよう…と迷っているならお近くの大学病院のご相談ください。
歯科大学病院一覧→https://www.jda.or.jp/links/links06.html
最後に知ってもらいたい、小児歯科専門医の独り言…
よく、「前の歯医者では一切麻酔をしなかった、なんで今回はするの?」
と質問をされる事があります…勿論、麻酔が必要ないむし歯の処置もあります。
僕も他の歯医者さんで治療した歯をみるとちょっと…どうかな??と思うときがあります。
「どうせ乳歯なんて抜けるし、子供が泣くから麻酔をしない…アレルギーが怖いからしない…」なんて歯医者の心の声が聞こえてきます。
確かに乳歯は抜け代わります、しかし、それまでにむし歯が進行して神経がおかしくなり、永久歯・歯並びに影響するなんて事が起こりえます。
歯科医師が正しい知識・技能を持って、治療をしてほしいです。
むし歯が深いので次は麻酔して処置が必要と言われました…うちの子アレルギーが沢山あるので心配です…