〜ある日の診療室での会話〜
甘いモノは好きです…チョコレート、ジュース、アメ大好きです… だからこそ、歯はしっかりと磨いていますよ!
歯をしっかり磨いてもむし歯になるとは?
歯を朝、昼、晩、3回しっかりと磨いていてもむし歯になるんです…
こんなお母さんからの質問が時々あります。
そういうケースではやはり甘い物をダラダラ与えていることが多いです。
お口の中は甘い物を食べると「脱灰と再石灰化」が起こり、歯が溶けたり、正常に戻ったりをくり返しています。
むし歯発生の仕組みを説明する際、どうしても必要な知識になりますので、説明していきますね!
脱灰と再石灰化とは?
Phってご存知ですか??
簡単に説明すると、酸っぱいレモンやコーラーなどが酸性、石鹸などがアルカリ性の代表となります。
水がちょうど真ん中の中性、お口の中もまたほぼ中性のPh7ぐらいのとなります。
お口の中にはたくさんの細菌が住んでおり、僕らが甘いもの(砂糖)を含んだ食品を食べると、口の中の細菌が酸を出して歯を溶かしてしまいます。
この歯が溶けてしまった状態を「脱灰」といいます。
しかし、人間はうまくできており、いくら細菌が酸を出しても時間とともに唾液の作用でPhが上昇してきて、溶けた歯が徐々に正常の状態にもどってきます。
これを「再石灰化」といいます。
口の中は脱灰と再石灰化が繰り返しておこります
では、次に口の中でどのように「歯の脱灰と再石灰化」がおこっているかを説明していきます。
上の図を参考にしながら、読んでください。
口の中では下記のような1〜4が繰り返しおこっています。
1,甘い物を食べます(お口の中はPH7です)
2,お口の中の細菌が砂糖を餌に大量の酸を出します
(お口の中はPは少しづつ下がってきます)
3,歯が溶けます(脱灰)(お口の中のPh5.5以下)
4,唾液の力で再石灰化がおこり元にもどります(お口の中はPH7に戻ります)
このように、口の中では歯が溶けたり(脱灰)、溶けた歯がもどったり(再石灰化)を繰り返し起きています。
では、ダラダラ食べるとどうしてむし歯になるのでしょうか??
ダラダラ食べていると口の中はどうなるか?
下の図の状態をグラフにすると下の図のようになります。
この図をステファン曲線といいます。
上のグラフのように甘い物を食べても、約15分ぐらいすると再石灰化が起きて口の中のPhは元に戻ってきます。
よって、しっかりとお時間を決めて食事していただけばそんな簡単にむし歯になることはありません。
それが…下のようにお菓子をちょこちょこ食べていると…
上の規則正しく食事をするときと比較して
再石灰化する時間がないのでずっと歯が溶けてしまいます!
なんで、ダラダラ食べが駄目なのか??
「ずっとむし歯菌が酸を出し続けて、再石灰化する時間が無いからです!」
なので、いくら歯を磨いても、ダラダラ食べていては、再石灰化の時間がとれずにむし歯になってしまうんです…
甘いものを食べてはいけないのか??
甘い物を食べていけないわけではありません。
よくあるケースとして、お子さんをむし歯にしてしまったお母さんは、心配で甘い物をあげなくなるなんてことがあります。
でもお友達の家に行くと、おやつで出てくる、むし歯になりやすいだから食べちゃ駄目!なんてのは可愛そうですよね…
しかも、お母さんは隠れてコソコソ食べる…よくある光景です。
保護者の方にお願いしているのは…
「しっかりと時間を決めておやつを食べさせてください!」
1日1回、3時のおやつはいいのではないでしょうか??お母さんと楽しく、お友達と楽しくお菓子を召し上がってください
しかし、子供が甘い物を上げると静かになるから、じゃあ、時間を開けても複数回あげてもいいのか??
「駄目です!!」
歯だけでなく、健康面からも大量の砂糖の摂取は必要ではないです。
砂糖の大量摂取はアメリカでも社会問題となっており、次のような厳しい提言がされております。
2016年8月、米国心臓協会(AHA)から「1日の添加砂糖は、小児が25g以下、2歳未満は一切控えるべき」という厳しい提言が発表された。
提言の冒頭では「貧しい食習慣が肥満や心疾患、高血圧、肥満と関連するがん、虫歯のリスクを増大させる」とし、子どものころからこの問題と取り組む必要がある。
米国心臓協会(AHA)
正しく、楽しくおやつを食べる、それも教育です。
現在人は大人でも甘ーい、スターバックスを位置に何回もダラダラと飲み、口の中がボロボロの人が増えてきています。
そんな大人にならないためにも、お母さんが正しい食事の仕方を教えるのも大事ですよ。
まとめ
ダラダラ食べると再石灰化の時間がないためむし歯になります。甘い物は時間を決めて楽しく食べてくださいね!
一生懸命に歯は磨いてはいるのですが、何故かむし歯が出来ます…何故ですか??